ペルソナ5 というゲームをご存知だろうか？
ある日突然「他人の心を書き換える」力を手に入れた高校生達が、悪い大人から「心を盗む怪盗」として暗躍するピカレスクロマン作品だ。
GEOとかで見たことない？
私はこのゲームが大好きで、300時間以上プレイし、トロフィーもコンプリートするくらいやり込んだ。やり過ぎたせいでセリフを覚えてしまった。単位も落ちた。
そんなペルソナ5のアップデート版、「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」の発売が31日に迫っている。めちゃくちゃ期待しているのだが、ふと思った。
「なんで自分はこのゲームがこんなに好きなんだろう？」
人間、好きが一周回るとこんな状態になる。ちょっと錯乱していると言えるかもしれない。
錯乱したまま発売日を迎えるのはアレなので、自分の思うペルソナ5 の魅力を纏めてみよう、と思った次第である。ネタバレ(といっても冒頭のみ)があるので少し注意。
①一風変わったジュブナイル
一般的にジュブナイルゲームと言えば、高校生や中学生を主人公に据えて、青春を追体験するゲームを指す。このペルソナ5 は、まさにそんなジュブナイルゲームだ。
高校生の主人公に成り切って、都会での生活を送る。青春ならではの甘酸っぱく、楽しいイベントがたくさん...でもないのがペルソナ5 だ。
ストーリー冒頭からボコボコにされ、投獄されている主人公。期待していた高校生活はどこに...？
実はこの主人公、「ワケあり」なのである。
主人公には、「暴漢に襲われている女性を守ろうとしたが、その男が権力者で逆に前歴を付けられてしまった」という過去が予め与えられている。
居心地の悪くなった地元から上京し、都会の高校でやり直そう、という所からペルソナ5 の物語は始まるのだ。これは主人公＝プレイヤーであるジュブナイルゲームではかなり珍しい導入だ。勿論、プレイヤーである私達にこんな経験は無い。が、「理不尽」な目にあった経験は誰にでもある。
「なんでこんな目に合わなくちゃならないんだ」
という思いが、プレイヤーと主人公を繋ぎ、一気にペルソナ5 の世界に入っていく事ができる。
この導入、かなり技アリだと思っていて。客の期待を鮮やかに裏切る事で、逆に没入感を高める。ネガティブな感情から始まる事で、後の「怪盗としての暗躍」というカタルシスを自然と盛り上げる。よく練られたストーリーラインだ。とにかくペルソナ5 はこういった、「細かいプレイヤーへの気配り」がストーリーだけでなく至る所にあるのが魅力の一つだ。
② 鍵は「反逆の意思」
さて、そんな主人公だが、上京先でも理不尽は続く。
居候先のオッサンはなんか小煩いし、慣れない満員電車にすし詰めにされ、朝から暗いニュースばかり。新しい学校でも前歴の事は既に噂になっており、「人を殺した」とまで囁かれる始末。現実かな？
フラストレーションが溜まる中、突如としてプレイヤーは異世界に迷い込む。
そこは、「心の歪み」が投影された場所で、言わば「他人の妄想の世界」だ。
学校が城になっちゃった。いや歪みすぎだろ。
異世界だから、当然モンスターが襲ってくるし、罠だらけだ。このまま出られなきゃ一貫の終わり...
が、ここでついに主人公がキレる。この異世界では、「反逆の意思」を持つ事で、歪みに対抗出来る様になるのだ。さらに、異世界(妄想)を破壊すれば、心の歪みが無くなる＝その妄想の持ち主を改心させる事ができる。
そして、同じような境遇からこの能力を得た仲間たちと共に、主人公は世の中の悪人から心を盗み出す、「怪盗」として暗躍していくのである。
この「反逆の意思」は作中で最も重要なキーワード。ペルソナ5 が人気を集める理由の一つとして、「理不尽に抗う意志を持て」という強いメッセージ性がある。まだ高校生に過ぎない主人公達が、理不尽に抗って、異世界で戦う力を得る。その力で、世の中に正義の是非を問う。
Twitterで「こんな事アリだと思いますか！？」「こんなヒドい奴がいた！」といったツイートが大量にリツイートされているように、理不尽は世の中に溢れかえっている。本当なら、自ら行動し、状況を変えてしまった方がいい。だが、それには莫大な「勇気」が必要だ。ついつい目をそらした、黙って耐えるしかなかった...
ペルソナ5 のキャラクター達は、そこを一歩踏み出して、越えていくのだ。私達が本当にしたい事が、ゲームの中なら可能になる。そして、ゲームを操作する私達自身が、少し勇気を持てるようになる。そんなペルソナ5 のメッセージ性は、プレイした人なら誰でも感じるはず。
まだまだ語り足りないが、ペルソナ5 のストーリーが持つ魅力が少しでも伝われば嬉しい。
続く！
