水星の魔女、一期終了からはや3か月。二期の早々開始までちょうど1か月ということで、再び全話見直しましたわたくしでございます。
今回は水星の魔女、一期後半の感想&考察記事になります。皆さんも2期開始前に、内容を振り返っていきましょう!
※本編視聴を前提としています。まだ見ていないあなたはすぐに公式YouTubeへGO。振り返り動画が上がっているぞ!
記事の面白さは書き手の腕のみで決まらず。
投稿サイトの人気で決まらず。
ただ、結果のみが真実...!!
フィックスリリース!!
各キャラクターの動向
前回と同じように、各キャラクターにフォーカスして振り返っていく。まずはミオリネから。
・ミオリネ
一期後半の主人公はミオリネだったと言っていい。物語の転機となったのはミオリネによる「株式会社ガンダム」の設立だった。
冗談みたいな名前だが、マジである。ついにガンダムも会社になる時代が来た。そのうちガンダム連合国とか出てくるんじゃないか。いや、いっそのこと太陽系第10惑星「ガンダム」とかどうだろうか。...ガンダム、ガンダムってなんだ?
そっか。じゃあ仕方ないな!
冗談はおいておいて、この株式会社ガンダムという存在は何だったのだろうか?物語の側面から考えてみると、その存在理由は「ミオリネが大人になるための舞台」これに尽きる。
株式会社ガンダムの設立のため、ミオリネは大嫌いだった父親に頭を下げ、会社の方針について意見がぶつかっても無視するのではなく、地球寮の中間達の意見を取り入れる方針をとった。
それまでのミオリネは一方的にスレッタに決闘を押し付けたり、(本人は嫌がるだろうが)まさに「この父にしてこの子あり」といった様子であった。
しかし、株式会社ガンダムにおいてミオリネは身を粉にして「みんなのために」動き続けた。
手っ取り早く儲かる兵器利用を選ばず、的確な指示を出しながら休学してまで会社の為に働いた。
本人はツンデレなので認めないだろうが、11話にてスレッタに抱き着き、涙を流すシーンで「逃げなくてよくなった」と漏らしていた。
父親という力から、友人達というある意味では面倒な存在から逃げずに、自身のやるべきことに向き合っていく。それはある意味では「大人になった」ということだ。
そんなミオリネに引っ張られるように、地球寮の面々も仕事にのめりこんでいく。その様はあたかも文化祭のよう。
「学園」という舞台を維持しつつ、キャラクター達を成長させるための枠組み。それが「株式会社ガンダム」。
学生たちの組織が、21年前に歴史から消された組織の「本当の理念」を継承するというのはなんともアツい。よくできた脚本だ。これには脱帽。流石大河内。ギアスやプリンセスプリンシパル、数々の名作を世に送り出してきただけはある。
なんて良い人そうな見た目なんだ...これは善の脚本家ですわ。
一人の大人として向き合っていく中で、ミオリネとデリングとの間にあったわだかまりも少しづづ溶けていく。しかし、流石大河内な展開がミオリネを待ち構えていたのだった…
・グエル(ジェターク社)
続いてわれらがヒーロー、グエル君。1期前半で寮を追い出され、キャンパーとして新たな人生を歩み出した彼に待っていたのは無慈悲な退学の知らせ。彼は自ら学園を去り、「ボブ」として遠い別のコロニーでアルバイトを始めるのだった…!!
最早登場するだけで面白い。なんでお前だけサラリーマン小説みたいなルートを歩んでいるんだ。
先ほどのミオリネが「自らの意志で大人になった」とするならば、グエルは「大人にならざるを得なかった」と言えるだろう。
親の都合に振り回され、度重なる決闘の敗北にプライドをズタボロにされ、学園を追い出されてなお自分の力で道を切り開く姿は応援せざるを得ない。
しかし、彼を大河内の魔の手が襲う。
物語終盤、グエルは実の父であるヴィムを、そうとは知らずに殺めることになってしまう。
展開自体はガンダムのお約束であるが、グエル君にその業を背負わせるのはあまりに過酷だ。プライドの高さが没落を招いたとはいえ、ほとんどは父であるヴィム本人が浅慮且つ単細胞な動きを繰り返したことに原因がある。
さらに生真面目なグエルが、この罪を背負わずに生きられるはずがない。もはや闇落ちは既定路線だと思われる。
ちょうどいい感じのガンダムがあるしね...
本日公開の2期PVにおいてグエルが登場しないことも不穏だ。一部では仮面枠として復活するのではないか?と言われているが、
流石にグエル君が仮面で学園に戻ってくるのはシリアスブレイクが過ぎる。
キャンパー、ボブだけでも面白すぎたのに仮面まで装備してしまったらこの番組はもうシリアスに戻れないだろう。デスノートの八神月が仮面付けて「デスノートに狂い無し...」ってつぶやいているシーンを想像してほしい。コメディでしかない。
皆さん感覚がマヒしてるようですけど、普通仮面で生活してんのってド変態ですからね...?
ガンダムには変態しかいねぇ!!!
私の予想では、中盤でグエル君が学園を襲撃するみたいな展開があるんじゃないかと思っている。なんでそんなことになるのかって?そういう展開がよくあるんだよガンダムってシリーズはな....!
弟であるラウダ・ニールも気になるところだ。PVで彼はジェターク社社長のスーツに身を通している。
ということは、いまだグエルは戻っておらず、ラウダがトップに立ったということだ。全てのきっかけは、水星の魔女とそのガンダム。
ラウダ・ニールが台風の目になるか、要注目だ。
・シャディク(グラスレー社)
先ほどの二人と比較すると、シャディクは「初めから大人だった男」と評価できるだろう。前半から何か企んでいる様子だったシャディクだが、後半では株式会社ガンダムの設立を妨害し、ミオリネを手に入れるべく動き出す。
シャディクのやり方はからめ手で、裏で手を回すスタイル。ミオリネのように突っ走ったり、グエルのように力に物を言わせるわけではない。
そのスタイルはまさに大人たちが繰り広げる権謀術数そのものである。
しかし、株式会社ガンダムとの決闘の中で明らかになった彼の本音は、どこまでも青いものだった。
シャディクもまた、大人になり切れてはいなかった。それはひとえに、ミオリネへの恋慕があったから。
9話ラストでのミオリネとのやり取りは必見だ。シャディクの青い恋心と、ミオリネに一歩踏み出せなかった臆病さ。ミオリネもまた、シャディクに王子様の役割を期待していた。しかし彼は動かなかった。ゆえに、ミオリネは自分で脱出しようとするしかなかった…。
ミオリネが断ち切った、まだ青いトマト。それは誰のことだったのか。
文学的すぎるぞガンダム!!
失礼心のグラハムが出てしまいました。
恋に破れ、スレッタを花婿として認めるシャディク。これで一件落着、、だったらよかったのだが。
物語終盤ではシャディクこそがテロリストを送り込み、ヴィムの死の間接的な原因を作り、地球寮の面々を追い詰め、フレッシュトマトの悲劇を引き起こした。
しかもミオリネに対しても「運がよければ生き残る」とあまり気にせず、作戦失敗の連絡を受けても微笑んでいる始末。
何考えてんだオメー…?
恋心に決着がついたことで、シャディクは自らの野望のため動き出した。2期ではミオリネと対峙するシーンがあるかもしれない。
お互いに銃を向けながら
ミオリネ「あんた何でこんなことを、、、!」
シャディク「恵まれた生まれの君にはわからないさ」
みたいな展開、あると思います。あれ、なんかギアスで見たなそんな展開、、
・エラン(ペイル社)
エランに関しては正直語ることが少ない。というのも、我々がよく知るエランは6話で退場してしまったため、本物の御曹司エランが何を目的としていて、どういうバックボーンなのか全く情報がないのである。
分かっているのは性格が鬼のように悪いことくらいだ。鬼滅の刃にいそう。え?声が炭次郎?黙れ。花江夏樹は毎期何かしらのアニメでメインキャラやってんだよ!今期は9Sとか。
しいて言うなら先ほど述べた二期の仮面枠だが、私は強化人士4号こと第一のエランが仮面枠で表れると予想する。
学園に同じ顔が二人いるのは流石に不可能だし、仮面をつける理由としてぴったりだ。
何より、スレッタのピンチに新たなガンダムを駆って颯爽と現れる4号君がみたい...!!!!
こんな感じで頼む。
本物エランがスレッタを攻撃してる所に、4号エランが颯爽登場!!
「...会いたかったよ、スレッタマーキュリー。」
...アレ、それってエヴァのカオル君じゃね?
実現したら泣いちゃうかもしれない。なんとでもなるはずだ…!
・スレッタ
いよいよ主人公、スレッタ・マーキュリー。…いやあ、ちょっと最終話が衝撃的すぎてスレッタに良い印象抱いてる人が少ないんじゃないか、という感じですね。
具体的には
・母親に洗脳されるシーンをなんか感動的な音楽で見せられる
・人間をモビルスーツでハエたたき
・血まみれの手で笑顔
またやってんね大河内イ!!!
この衝撃的な展開で2期に引っ張るパターン、まさにコードギアスのそれである。
ギアスの放送当時も、主人公が見方を見捨てて妹を助けに行き、友人とピストルを向け合って発砲音で終わるという最早なんと評価したらいいのかわからないエンディングで2期に引っ張った。
今回もそのたぐいだが、ラスト以外はスレッタは明確に前進していたということを忘れてはならない。
6話にてエランと心を通じ合わせた結果、少し自身もついたのだろう。株式会社ガンダムにおいても積極的に活動し、仲間をジョークで笑わせる等、どんどん成長を見せていたスレッタ。初期のコミュ障っぷりなど忘れッタ。やりたいことリストもどんどん達成されていく。
だが、気負いすぎて逆に仲間と距離を感じたりもしていた。いやー、この辺りの描写はうますぎる。コミュ障はね、お弁当が足りなくても言い出せないんだ…自分が悪いよな、でため込んでしまうんだ…ここの解像度の高さ、スタッフに絶対便所飯組のやつがいる。
壁は成長のチャンスである。スレッタが自らの力で壁を乗り越えた時、大人に一歩近づくのだが、、、
まあコイツがそれを許さない。
スレッタは何かに悩むとき、必ずプロスペラに頼る。そしてプロスペラは、スレッタがどんな言葉をかけられれば満足するか完全に把握している。マインドコントロールに近い状態だ。
スレッタは、「大人にならせてもらえない」存在なのである。それが12話で、最悪の形となって表れた。プロスペラはスレッタの心のリミッターを外し、スレッタは殺人に手を染めてしまう。
この展開は、「なんでもかんでも進めばいいのか」という物語からの問いかけだ。
スレッタにとって進むことは、ただの方向性である。強迫観念と言ってもいい。
一方でスレッタの姿に「進むこと」を見出した他のキャラクターたちは、自分なりの未来をつかみ始めている。この差はなんなのか。
それは、「自分の意志で、気持ちで進むことを決めたかどうか」これに尽きる。
事実、エランに進んでコミュニケーションを取った時のスレッタは、確かに心を通じ合わせたのだ。しかし12話では、ただプロスペラに操られるがままであった。その差が残酷に描かれたのである。
加えて、エアリアルの「声」がどんどん聞こえるようになっているのも不気味だ。
おそらくエアリアルの中には、本当のプロスペラの娘、「エリクト」の意識データが入っている。
何故スレッタはエリクトに似た見た目をしているのか?プロスペラの最終目的は、「スレッタにエリクトの人格データを上書きすること」なのではないか。
二期において、スレッタは大人になることができるのだろうか。今の所打開のカケラも見えないスレッタ。先行きが不安すぎる...
・ソフィー&ノレア(地球の魔女)
全く予想外の方向から現れた「地球の魔女」二人組。
彼女らが示すのは、「地球と宇宙の戦争」そして、「ヴァナディース機関に裏切者がいた」事実だ。
地球と宇宙に確執があることは、0話から描かれている。シャディクは地球のテロリストである彼女らを呼び寄せ、デリングの暗殺を指示した。しかし作戦は失敗、、、
これ、外から見るとどうだろうか。「地球人が宇宙企業の重鎮であるデリングを襲った」ようにしか見えないではないか?
シャディクの狙いは、地球と宇宙の戦争を過熱させることだったのかもしれない。
そして、地球のガンダムである「ルブリスウル」「ルブリスソーン」。
何故この二機は「ルブリス」の名を継承しているのか?
それは、ヴァナディース機関に裏切者がいたからだ。
そもそもGUND-ARMを作ったカルド博士の理想は、宇宙空間に人類を適応させることだった。
しかし技術が兵器に利用され、ヴァナディース機関はデリングによって潰された。
ヴァナディースの中に、ガンダムを地球の武器とし、宇宙に戦争を仕掛けようとした一派がいたのだ。
ルブリスの名を持つ2機が地球にいたことは、その一派が地球に逃れたことを意味している。(ルブリス本体はエアリアルに生まれ変わっているため)
それを駆る二人の魔女は、ここまでの文脈でいうと「大人も子供もない、過酷な世界に生まれた少女」と言えるだろう。
なんなら二期では、このふたりが転校してくると予想する。学園ドラマの王道であり、話の起爆剤としてはぴったりだ。ソフィー本人も"次はこっちから会いに行く"と宣言していたし。
この二人にスポットが当たるとき、それはヴァナディース機関の闇を暴くこと、ひいては株式会社ガンダムがGUND-ARMの呪いと対峙することを意味するのではないだろうか。
・デリング&プロスペラ
最後はこの二人。ともに仇であり、敵対してるに違いないと思われていた二人だが、なんと協力関係にあることが判明した。
その計画の名は、「クワイエット・ゼロ」。
この謎の計画だが、私には一つの予想がある。
クワイエット・ゼロの目的、それは死者の蘇生である。
何故そんな結論に至ったのか?理由は二つある。
1つは、「プロスペラの目的がエリクトの復活である」と予想されること。
2つ目は、仇である二人に唯一共通するのが、「大切な人を失っている」こと。
デリングはGUND-ARM(ヴァナディース)により妻を失っている説がある。確かに、あそこまで執拗にガンダムを否定するとなると、最早GUNDそのものに恨みがあるとしか思えない。
実際、過度のGUND使用は死に至ることが描写されている。私はこの説をかなり推したい。デリング本人も、「ガンダムの闇は深い」と述べていた。つまりGUNDの負の側面をデリングは知っていると言う事になる。それがミオリネの母の死だとすれば納得しかない。
勿論プロスペラは本編通りデリングにより夫と娘を失っている。
その二人が手を組む理由として、大切な人の蘇りは良い落とし所だと思わないだろうか?
さらにパーメットには、"人の想い"を伝達するような要素がみられている。(0はのナディム、6話のエランなど)
特に6話のエランが忘れていた母の記憶を思い出した描写。単なる感動描写に見えていたが、
パーメットが死んだエラン母の記憶を伝えてきた、と捉えることはできないだろうか?
パーメットには、"人の想いを拾い上げる"力が宿っている可能性がある。
クワイエット・ゼロ。誰も沈黙しない世界。悲しみも争いも無い世界....。
だが、デリングは重症となり、復帰していないことがPVで示唆されている。
状況はプロスペラの思うがままだ。何ならこの状況こそが狙いだったのかもしれない。
スレッタ&ミオリネは、この強大な親に打ち勝てるのか?
おそらく悲劇的であろうスレッタとエアリアルの秘密に、果たしてスレッタは耐えられるのか?そして、
「水星の魔女」という物語はどこへ向かうのか。
最後にこの物語の先を予想して結びとしたい。
「水星の魔女」は、ガンダムという最早古典と化したフォーマットに、革命を起こそうとしている。
学園というベタな舞台、戦争と一つ距離を置いて生きるキャラクター達。
そして「子供と大人」という普遍的テーマ。
このキャッチーさは、確実に新たな層を引き込むことに成功している。
その一方で、水星の魔女の根っこは、驚くほどに「ガンダム」的だ。
仮面キャラクターの伝統は外さず、
強化人間というお決まりの設定を外さず、
親殺しという展開も踏襲している。
その中で、いまだ使われていない伝統の要素がある。
ニュータイプだ。
ヴァナディースの理想は宇宙に適応した人類をGUND技術の力で生み出すこと。地球と宇宙の分断を乗り越える希望を生み出す。
それはつまるところ、「誰もがわかりあえる、新しい人間に進化する可能性を開く事。」
すなわちニュータイプ概念そのものなのである。
これは明らかに意図的な配置だ。そして、主人公たち株式会社ガンダムが、その理想を叶えようとするチームである以上、物語は必ずそこへ到達する。
子供たちが自らの力であまりにも深い闇を乗り越え、大人になった時。
その時、GUNDの理想もまた完成し、ニュータイプへの扉が開かれる。
そんな展開を予想し、記事の結びとする。
いよいよ4月から始まる「水星の魔女」第二期。共にに追いかけていきましょう。
その先に、「ガンダム」というコンテンツの新しい未来があると信じて…!!